北海道の動物たちはこうして生きている

北海道の動物たちはこうして生きている」
写真・文 富士元寿彦 北海道新聞

12月の富士元さんの講演会を前に読んでおいた本です。講演の予習のために読んだのですが、当日は本に書かれている以外にもたくさんの話をされていました。この本は、そんな豊富な経験と知識をお持ちの富士元さんの最新作です。

ページをめくるごとに現れるサロベツ原野周辺に生息している野生動物の数々。自然豊かな土地に住んでいても、普段野生動物の姿を見ることはそう容易ではありません。読み進むうちに「これだけの動物がサロベツに生息しているのか」と驚かされます。

内容はさらに動物の生態系の変遷等についてもふれています。種の存続の危機にさらされる動物たちの姿と、それを保護し共存を目指す私たち人間の在り方。その土地に生きる富士元さんだからこその言葉の数々が、強い説得力を持って私たちに訴えかけてきます。

40年もの間、原野を撮影し続けた富士元さん。写真や文章の合間に地域の情報も紹介されたこの本は、よくある写真集とは一味違った、「サロベツ」への深い洞察と愛が感じられる一冊です。